歯周病は日本人の30歳以上の成人のうち、およそ60%以上の方がかかるといわれている病気です。症状が悪化すると歯が抜けたり、内臓疾患を引き起こしたりするおそれがあるため、注意しなければなりません。
そして歯周病は犬や猫にとっても、たいへん危険な病気です。人間と同じように健康に影響を与えるため、定期的なケアが必要です。今回の記事では歯周病の主な症状や対処法について、詳しく解説していきましょう。
1. 歯周病とは
歯周病とは、口腔内の細菌が起こす病気のことです。歯周病には歯肉が腫れ上がる歯肉炎と、歯周組織が壊されてしまう歯周炎のふたつにわかれています。歯肉炎とは歯内が炎症を起こして、赤く腫れたりする症状のことです。
歯周炎とは重症になると、炎症が歯を支える構造にまで広がります。歯周病が進行して歯周ポケットが深くなり、歯槽骨が破壊されると、現状では完治が難しく抜歯せざるをえないことも多いです。米国獣医歯科学会による報告によると、3歳以上の犬の80%が歯周病を抱えていることがわかっています。犬の歯周病は人間の歯周病よりもわかりにくいため、注意が必要です。
1-1. 歯周病を放置するとどうなる?
犬や猫の歯周病の場合、歯肉が腫れ上がる・出血する、歯がグラグラするなどの症状が起こります。ただし人間の場合は痛みや不快な症状を伝えられますが、犬の場合は言葉では伝えられません。痛がったり気にしたりなどの症状に気づいたときには重傷になっているケースもあり、顔の皮膚に穴が空いて歯根にたまったウミが出る、アゴの骨に折れているなどの症状が起こるおそれもあります。
歯周病を放置した場合、体のほかの部分に細菌が感染してしまうケースがあります。歯根の先端は血管とつながっており、感染すると心ない膜炎や肝炎、腎炎、下顎骨炎などの病気を引き起こすおそれもあるため、注意が必要です。病状の進行によっては、歯周病がきっかけで内臓にトラブルを起こしたり敗血症を起こすと命を落としてしまう可能性もあります。
1-2. 歯周病の疑いのあるケース
歯周病の疑いのあるケースとして、歯石による歯の汚れや口臭などがあげられます。また症状が進んでいるときには、鼻炎などをおこして、くしゃみや鼻水などを認めることもあることでしょう。歯の異変に少しでも気づいたときには、早めに獣医師に相談しましょう。
2. 歯周病にかからないようにするには
歯周病にかかると口のなかだけではなく、鼻炎など呼吸器症状や下顎の骨折などの問題を引き起こす恐れがあります。歯周病にかからないためにも、普段からのケアするようにしましょう。ここでは歯周病にかからないようにするための方法を、詳しくご紹介します。
2-1. 定期的に検査を受ける
歯周病は外からではみえにくいため、気づいたときには症状が進行しているおそれがあります。定期的に検査を受けて、口のなかの状態をチェックしましょう。主な検査方法として、視診や簡易キットなどの麻酔を行わないで行うものもありますが、最終的な診断や重症度や治療法を選択するには、麻酔下での歯科レントゲンやプロービングがあります。見た目はきれいでも歯周病が起きていることもあるため、正確な診断をするために必要な麻酔ができるよう定期的な健康診断などで全身の健康状態を健やかに保つようにしましょう。
2-2. 歯石を除去する
歯石とは歯垢がだ液に含まれているカルシウムやリンが沈着し硬くなったものです。歯に石のようにこびりついてしまうため、歯石と呼ばれています。歯石があるとさらに歯垢が付着しやすくなり、デンタルケアがしづらくなり歯周病を引き起こすおそれが高くなるため、注意しましょう。
犬や猫の歯石を除去する際には、超音波スケーラーという器具を使います。細かい振動と水圧によって、歯に付着したプラークや歯石を取り除きます。生活環境や犬種など個体差はありますが、デンタルケアが適切にできず、3~6ヶ月で歯石が付着してしまう場合では歯周病の治療として、歯を残すために1年以内に複数回、麻酔下で歯石除去をすることがあります。
2-3. 歯磨きをする
歯周病を防ぐためのもっともおすすめの方法は、毎日の歯磨きです。定期的に歯磨きが適切にできれば、口のなかにたまった食べかすや歯垢をきれいに取り除けることでしょう。
口のなかを清潔な状態に保ち、歯周病菌の感染を防ぐことで、歯周病は予防したり進行を抑制することが期待できます。また歯ブラシを使って歯肉をマッサージすれば、血液が毛細血管の隅々へと行き渡り、新陳代謝が活発になるため、強い歯肉を形成するという話もあります。
ただしいきなり歯磨きをすると、ペットたちは嫌がってしまいます。そこでごほうびを使いながら、犬や猫が歯磨きになれるように、練習していきましょう。歯に歯ブラシをあてる練習からはじめるのがおすすめです。
3. 犬や猫の口腔ケアにおすすめの歯ブラシ
犬や猫の口腔ケアを行うときには、ペット専用の歯ブラシを使いましょう。ここでは口腔ケアにおすすめの歯ブラシを、3つ紹介します。
3-1. LIONデンタルブラシ ラウンドタイプ
ラウンド毛とは基本的な歯ブラシ毛のことで、根本から毛先まで均一な太さにそろっているのが特徴です。毛が平らになっているため、高い清掃効率を期待できます。健康で歯磨きをはじめる幼猫や、歯肉が弱ってきた老犬におすすめです。歯周病の治療後で歯周ポケットができていない子猫や、子犬にも適しています。
3-2. LIONデンタルブラシ ダブル毛タイプ
短い毛と長い毛が組み合わさったタイプの歯ブラシです。歯周ポケットにピッタリとフィットするため、歯周病の初期段階の犬や猫におすすめです。
3-3. LIONデンタルブラシ 超極細毛タイプ
超極細の毛がついた歯ブラシとなります。毛の先端が細くなっており、歯周ポケットにつまった汚れをきれいにかき出します。2~3mmの深い歯周ポケットのある犬や、猫におすすめです。歯科処置後にケアにも向いています。
https://www.lion-pet.jp/product/petkiss/kinou_doctor_bs.htm
4. まとめ
人間と同じように犬や猫のペットについても、歯周病の対策が必要です。放っておくと骨や内臓にも影響を与えるため、早めのケアを心がけましょう。とくに普段からの歯磨きをきちんとしておくと、歯周病の発生を抑えられます。
「かしわだい動物病院」は、ペットの口腔ケアに力を入れている動物病院です。入院や通院を減らすための、医療やケアを提案しています。歯ブラシをはじめ、さまざまな口腔ケアグッズの通信販売も行っています。ペットの歯が気になる方は、「かしわだい動物病院」までぜひともお気軽にお問い合わせください。